S&P500株価指数(以下、「S&P500」)が高値を更新しています。 ここまで相場が上昇してくると、「もうそろそろ上がらないだろう」「いったん売って、下がったら買い戻そう」と考える投資家が一定数出てきます。その心理は理解できますし、「高く売って、安く買う」という発想自体は一見して合理的です。しかし、投資の歴史を振り返ると、このアプローチは往々にしてうまくいかないことが分かっています。 興味深いデータがあります。ハートフォード・ファンドの調査によれば、1992年から2021年末までの30年間で、S&P500の年間平均リターンは10.92%だったのに対し、米国の平均的な個人投資家のリターンは10.05%にとどまっていました。米国株のリターンは、日本株に比べてはるかに高いにもかかわらず、米国人投資家がその果実を十全に享受できていないのはなぜでしょうか。 それは、多くの投資家が「下がりそうだ」と思えば売り、「上がりそうだ」と思えば買うという行動を繰り返しているからです。売買のたびにタイミングを見誤り、結果としてリターンを削ってしまっているのです。完璧なタイミングを狙おうとする投資家ほど、長期的な収益のチャンスを逃しがちだという指摘すらあります。 過剰な売買は、マーケットが本来提供しているリターンを投資家自身の手で削ってしまうのです。では、どうすべきか。 僕が常々強調しているのが、「Stay Invested(投資し続けること)」です。私は日本の株式市場についてはあまり楽観していませんので、国内株式に対して同じことを言うつもりはありません。 しかし、長期的に見て魅力的なリターンが期待できる米国市場、特にS&P500といった代表的株価指数に投資するのであれば、「Stay Invested」の考え方は非常に理にかなっていると信じています。 タイミング(Timing)を測るのではなく、マーケットに時間を委ねる(Time in Market)ことが、米国株投資での資産形成において最も重要です。 そのために必要なのは、感情と雑音に耐える力です。市場の急落や不安を煽る報道に左右されず、事前に定めた方針に従って淡々と投資を継続すること。これこそが、米国株式投資における成功の王道でした。そしてその原則は、これからも変わらないと僕は思っています。
高値を更新し続けるS&P500との付き合い方 | ウォール街を知るハッチの独り言 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア
S&P500株価指数(以下、「S&P500」)が高値を更新しています。
ここまで相場が上昇してくると、「もうそろそろ上がらないだろう」「いったん売って、下がったら買い戻そう」と考える投資家が一定数出てきます。その心理は理解できますし、「高く売って、安く買う」という発想自体は一見して合理的です。
しかし、投資の歴史を振り返ると、このアプローチは往々にしてうまくいかないことが分かっています。
興味深いデータがあります。ハートフォード・ファンドの調査によれば、1992年から2021年末までの30年間で、S&P500の年間平均リターンは10.92%だったのに対し、米国の平均的な個人投資家のリターンは10.05%にとどまっていました。
米国株のリターンは、日本株に比べてはるかに高いにもかかわらず、米国人投資家がその果実を十全に享受できていないのはなぜでしょうか。
それは、多くの投資家が「下がりそうだ」と思えば売り、「上がりそうだ」と思えば買うという行動を繰り返しているからです。売買のたびにタイミングを見誤り、結果としてリターンを削ってしまっているのです。完璧なタイミングを狙おうとする投資家ほど、長期的な収益のチャンスを逃しがちだという指摘すらあります。
過剰な売買は、マーケットが本来提供しているリターンを投資家自身の手で削ってしまうのです。
では、どうすべきか。
僕が常々強調しているのが、「Stay Invested(投資し続けること)」です。私は日本の株式市場についてはあまり楽観していませんので、国内株式に対して同じことを言うつもりはありません。
しかし、長期的に見て魅力的なリターンが期待できる米国市場、特にS&P500といった代表的株価指数に投資するのであれば、「Stay Invested」の考え方は非常に理にかなっていると信じています。
タイミング(Timing)を測るのではなく、マーケットに時間を委ねる(Time in Market)ことが、米国株投資での資産形成において最も重要です。
そのために必要なのは、感情と雑音に耐える力です。
市場の急落や不安を煽る報道に左右されず、事前に定めた方針に従って淡々と投資を継続すること。これこそが、米国株式投資における成功の王道でした。そしてその原則は、これからも変わらないと僕は思っています。